フィルムの劣化は思っているより早い
ウィルヘルム・イメージング研究所は、フィルム保全に関する世界有数の独立研究機関です。1995年から様々な保存条件下でのフィルムや印刷物の耐久性に関する研究を行っています。2011年には、フィルムの寿命を調査した長期的な研究結果が発表されました(Logroño 2011)。世界的に有名な研究所が行った研究結果は、憂慮すべきものでした。
フィルムの種類や保存状態にもよりますが、フィルムの劣化の始まりは比較的早く、数年放置するだけで現れます。
フィルムの寿命を左右するのは、温度と光です。多くの種類のフィルムは、室温が20℃で自然光にさらされるというごく普通な保管条件で、すでにダメージを受けています。美術館では早くからこの危険性に着目し、古い絵画などの展示物は数時間しか展示されないことが多くなっています。
写真という資産を守る
しかしながら、理想的な保存状態であっても画質の劣化は時間の問題です。アナログ写真はすべてデジタルメディアに移行しなければならないという事実が、今ようやく理解さ れはじめました。もしあなたが一歩先を行き、すでに画像のデジタル化を実行しているのであれば、私たちはただただ賞賛するのみです。
写真は過去の時代の証人であり、文化遺産の重要な一部であり、歴史と社会を物語るあらゆるものとともに、最善を尽くして保存しなければならないのです。知識と伝統の継承は、人間の本質的な部分であり、人類がこれほどまでに成功した理由の一つでもあるのです。私たちはその責任を果たし、未来の世代のために過去を物語るこれらの資料を保存することができるのでしょうか。